2012.10.01 Monday
イタリア靴の踵のプーリア州
イタリアの靴の踵にあたるプーリア州は二度目の訪問です。
一度目はイタリアの家具の輸入をしていた時に、
特注のソファを製造している会社の工場がバリに有り訪問しました、
仕事が中心でしたから、観光的な所も調べ無いまま訪問して北イタリアとは違った
ソバージュさに驚いてしまいました。
今回は以前ティッセタンタの家具会社で輸出部長をしていたパトリシア女史の勧めで
純粋に観光で訪れたので色々な本で勉強して来ましたー特に参考になったのは
池上俊一氏著の‘イタリアの建築精神史’と題する、19世紀くらいまでのイタリアの
建築で特に池上氏が興味の有った場所を特定して細かく描写されていて読んでいるだけで
その場所にいるような気になる素晴らしい参考書です。(若しイタリアへの旅行をお考えなら
是非購読されるのをお勧めです)
パトリシアの友人のエンゾー氏(ミラノでファッションのデザイナーを長くやっていた人
ですが肝臓の移植をしてから、空気の悪いミラノでは住めなくてプーリアへ移り住んだ)
が特に気に入っている小さな町を案内してくれました。
プーリア州はイタリアきっての農業地帯で見渡す限りの古いオリーブ畑(裕に700~
800年が過ぎて1000年にたどり着いたオリーブもあるそうです)ブドー畑
アンティーチョーク、アーモンド、イチジク、プラム、レモン、西洋カリン等々の
果樹が無数に植えられていますが、中には太古の岩、土壌を覆うようにして,インド
=ヨーロッパ語圏の人々が来る前の植生が残っているそうです!
人間の手に触れられていない古代の女神の乳房から養分を吸い取って勝手気ままに繁茂する
植物達が、野性的な香りを発散させながら,広大な畑地と伍するように蔚然と広がって
(之は池上氏の本からの抜粋です)
エンゾー氏が好んで連れて行って下さった街はイタリアのロマネスクがそのまま
隔離されたかのように残るー日の光を浴びる小高い丘の上にあり、漆喰で真っ白に
光り輝く小さな村ーチステルニーノ、ロコロトンド、オスティーノ)
スペインにいるのかと思ってしまうようなロマネスクの建築がそのまま保存されて
まるで村そのままが美術館のようです。12世紀から始まるスペインとの戦い、
17世紀には南イタリア全体を統治したスペインの勢力がこの石と土の文化の中に
生築いているかのようです、その頃首都だったナポリの貴族達が好んで邸館や屋敷を建てた
のがこのプーリアのレッチェやマルティーナ フランカという街だそうです。
それにしても空気が澄んでいるせいか?夕暮れの空も夜空も特別に美しいです。
オリーブ畑の中のB&Bにいたので、月明かりが眩しい程でした。。。。。
建築物もさることながら、食べ物も私達日本人には目が無い’お刺身三昧’
シチリアでもサルデニアでも南イタリアではそんなにお刺身を食べませんが
ここプーリアはお刺身の宝庫!白身の鯛、鱸、ヒラメは勿論 ウニや牡蠣、
禁止に成っている貝類等々、新鮮で味付けは海の塩味+少しのオリーブオイル
北イタリアのファッションデザイナー達が挙ってプーリア州の代表のような
住居ーツルーリを購入して、別荘にしているらしく、小さな海沿いの村にも
大変お洒落なレストランが沢山ありました。
特に気に入ったのは、魚屋さんが直接経営している食前酒用のバー
夕暮れ,海に日が落ちる頃、三々五々お洒落した人達が集い、
シャンパン片手に、お刺身をオーダーしています、このバーのメニューは
新鮮なお刺身だけ! 歯ごたえのあるフレッシュな白身のカルパッチョ
(塩味は海の濃さでオリーブはとても控えめで軽いオイルを使っていました)
勿論トマトも太陽を一杯浴びて真っ赤に熟した物ばかり、それに忘れられないチーズ
水牛のモッツアレラより、もっとミルクっぽいチーズ!
馬のお肉から作られたサラミやプロシュート類、お肉も美味しいです!
帰りにお勘定をしたらまたびっくり東京のレストランから比べると約半分位の価格です。
10月中頃から3月初め位はオフシーズンに入るらしいですが、
それまでは勿論透明な海で泳げて,美味しい物が豊富で、中世のロマネスクがそのまま
残ったプーリア州、時間を見つけて一度訪れて下さいませ!