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2012.11.23 Friday

石の美術館ー隈研吾氏設計


 
 
 
 
 
前回のブログでご紹介した広重美術館から1時間くらいの所に、
 
 
この石の美術館があります! 7、8年前にも伺った事がありましたが
 
 
今回もやはり、石そのものの重量を感じさせない工夫に感激です。
 
 
 
 
 
この地方で取れる大谷石を石工の方々といかに軽く表現するか?
 
 
時間を掛けて研究されたと、’場所原論’に書かれていましたが、まさにその通り
 
 
所々に透けて見える部分や、透明にすら見える部分があり、
 
 
其の効果で、石とは思えない軽さを感じます。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
一番奥のパビリヨンには、其の石との戦いの末、色々なプロジェクトに使われた実積写真
 
 
一緒に研究された石工の方々と共に貰った勲章のように展示されています。
 
 
 
 
この石の美術館のオーナーは資金は無いが、石工をどれだけ使っても良い!
 
 
完成時期は全く拘らない!との条件で設計が開始されたそうですが、
 
 
そのオーナーの意図を隈研吾氏はしっかり受け止めて、いろいろな有名なプロジェクトに
 
 
石をどうすれば軽く表現出来るか?色々なトライアルの後が見受けられます。
 
 
 
 
 
一度ミラノサローネに、原研哉さんのディレクションで、日本繊維協会のイベントがあり
 
 
隈研吾氏は繊維で透けるブロックを作って、人を歩かせて其の姿が,ブロック越しに
 
 
透けて見えるのを表現してミラノのジャーナリストが絶賛していたのを思い出します。
 
 
 
 
この石の美術館の展示室には隈研吾氏のメッセージが載っていて、
 
 
 
‘駄目な所員はいつでも、建築で出来ない理由を滔々と語るが、
 
 
全く意味がなく、弁解するような建築は作らなければ良い!
 
 
言い訳は無意味だから!’というような文章が載っていました。。。。。
 
 
 
色々な条件を真っ正面から受け止めて,それでいて全てポジティブに
 
 
イメージを表現する事に突進して行く姿を見る想いです。
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
宝積寺の屋根の部分です!これはJRのローカル線の一駅
 
 
丁度設計されている時に隈研吾氏は其の屋根を鉢の巣のイメージ
 
 
ハニカム状に作られた鉢の巣を木で表現したいと話されていました。
 
 
 
 
町長さんが石の美術館の為に隈研吾氏が何度も脚を運ばれているのを聞きつけて
 
 
駅のデザインを依頼されました。予算とJRの工事規定等の山積みの問題を経て
 
 
完成しましたが、経年変化でかなりベニア板の破損が進んでいます。
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
気に掛けた隈事務所の人が修復工事を丁寧に見ているそうです。
 
 
 
 
 
コンクリートだけで収めてしまえば後はすっかり忘れてしまえるのに、、、、、
 
 
 
自然のマテリアルを随所に登場させるので、後々のフォローが大変です、
 
 
 
でも其のフォローを金銭的な感覚で割り切らず、飽くまでも挑戦して
 
 
 
前進させようとする隈研吾氏の姿勢に、町の人達や駅の管理部分の人達が
 
 
頭の下がる想いをしているそうですー伺う事を隈事務所から伝えて頂いていたので
 
 
関係者の方々から詳しく其のディテールを聴く事が出来ました!
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
無理な設計をして,雨漏りしたり、修復不可能なまでにダメーッジを受けても
 
 
完成したら二度と現場に訪れない著名な建築家の話を聞く事が多い中、
 
 
今回の隈研吾氏の負ける建築のきめ細かなフロー体制が大変印象的でした。